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青年&少年漫画原作のオススメ実写映画11選青年&少年漫画原作のオススメ実写映画11選

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もはや日本の少年漫画が、単に日本の少年たちに向けたものではなく、子供だましのエンターテイメントものでもないこと、は誰しも周知のことだろう。例えば「ONE PIECE」は海外35カ国以上で6000万部以上を発行している化け物コンテンツだし、『NARUTO』も老若男女に支持された『ドラゴンボール』の後継作品と押す声も強いほどの存在感を持っている。名実ともに日本を代表するコンテンツ、それが青年&少年漫画だ。   そこで今回は、実写化した青年&少年漫画原作もの映画の中でも特に優れている、オススメできる実写映画11選をお送りする。

Recommended Movie No.01

バクマン。(c)2015 映画「バクマン。」製作委員会 (c)大場つぐみ・小畑健/集英社

紹介

ジャンプに掲載されていた少年漫画。主人公のサイコーとシュージンいう2人が漫画家を目指す内容で、時代は現代。でてくる編集部は実際のジャンプ編集部だ。年齢などには荒唐無稽さがあるものの、あくまで現実的な設定の元で描かれた「漫画家漫画」。漫画家漫画は2016年に「重版出来」がドラマ化されたことでも大きな話題となった注目ジャンルだ。 本作の監督は、「モテキ」の大根仁。ディティールを映像として見せるオリジナルなアイデアがこまめに入っているのがとてもいい。初投稿として編集部にもっていく漫画作品はロゴまで手描きなのだが、三回目となるとちゃんと上からトレーシングペーパーをかけている。「手慣れてきた」「教わった」感がでてくる。 この他、シュージンが書くネームに資料を張り込んだりしているのも原作にはないが「それっぽい」要素である。「自分たちならではの作品、強味とは何か」を探求する際に今まで描いたことのない胸を描こうとし、乳首で手が止まるというのも原作にはないシークエンスだがオモシロイ。「見たことのないものは描けない」ということをユーモラスに映像で表現しているわけだ。 実写版は全体として「青春もの」としてまとめられている。そこには恋愛もあれば失恋もあり、若さならではの熱さ、初めてみるものへの驚き、上昇への喜びがある。原作の要素をただ並べたわけではなく、新しいアイデアも含め再構成し、一本の映画として成立させている。映画化のお手本のような作品であり、ラストのスタッフロールにまで漫画愛を感じられる佳作である。

Recommended Movie No.02

HK/変態仮面(c) あんど慶周/集英社・2013「HENTAI KAMEN」製作委員会

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ジャンプ連載の漫画。なのだが、連載期間は1992年からたった1年程度、単行本にしてわずか6冊。大人気漫画というわけでもなく、どちらかといえばイロモノギャグ漫画という印象であった。 しかしその短い連載にも関わらずそのすさまじいビジュアル、「クロスアウッ!(cloth out = 脱衣)」「それは私のおいなりさんだ」などの言語センスが強烈な印象を与え、コアなファンがついていた。そのファンの中には俳優の小栗旬がおり、本作の成立に大きく関与したとされる。本当は主演もしたかったが止められたらしい。結局小栗旬は「脚本協力」として名を連ねている。 監督は福田雄一。『勇者ヨシヒコ』シリーズや『アオイホノオ』『THE3名様』などで監督演出、逆境ナイン、高校デビューなどでは脚本をやっており、漫画原作作品を多く手掛けている。福田監督は、低予算でコントのようにしか見えない絵面だろうと強引にねじ伏せちゃんと面白く仕上げてしまう。その手腕は本作でも健在。まあパンツを被った半裸の男が股間を顔ににじり寄らせたり、一瞬で亀甲縛りしたりと、どれをとっても冗談にしか見えないビジュアルのオンパレードなので、ある意味この企画に最も適した監督である。 そして本作を一段上のレベルに上げてしまったというべき要素が主演、鈴木亮平演じる変態仮面の肉体だ。引き締まった肉体がポージングするだけで絵になるし、そこがまた笑いにつながる。このビジュアルがまさしく「変態仮面」。脇を固める役者の存在感もすごい。何を考えてるのかわからない敵の大将ムロツヨシは作品世界そのものを幻惑してくるし、とくに偽変態仮面演じる安田顕は普通にパンツを被ったまま、鈴木亮平と違って漫画的な目隠しもしていない。貧相な体つきも相まってどう見ても言い訳できないタダの変態である。 内容からして万人に向けたものでは当然ない。そもそもPG-12だ。しかしコメディとしてはかなり笑えるし、この作品でしか見れない絵も多数。とがっているところはとがっていて楽しめる。正しいB級映画といえよう。

Recommended Movie No.03

るろうに剣心(c)和月伸宏/集英社 (C)2012 「るろうに剣心」製作委員会

るろうに剣心

(2012年)

作品情報

出演:
佐藤健,武井咲,香川照之,吉川晃司,蒼井優,江口洋介,青木崇高,綾野剛,奥田瑛二
監督:
大友啓史
再生時間:
2時間14分
関連情報:
原作:和月伸宏
サービス名種別:
ワーナー・ブラザース
タグ:
購入作品,動画購入(無期限作品)が半額
音声言語:
日本語
配信形式:
ストリーミング動画

紹介

原作はジャンプ連載の漫画である。舞台は明治初期とは言っても正確な時代劇とも言えない。モデルとなった人物や事件を脚色して描いていたりするからだ。このあたり、まったくデタラメというわけじゃないのがポイントで、ファンタジーとしか思えないような剣術、ガジェットにも元ネタがあったりする。 その実写化となる本作だが、まずは絵作りの上手さが際立つ。監督は直前まで大河ドラマ「龍馬伝」をやっていた大友啓史氏であり、明治初期の空気感がまず素晴らしい。ロケにせよセットにせよ窮屈な感じは全くしない。時代劇を撮るのも経験値がモノを言う。 重厚な画面に呼応するように、リアリティの積み上げ方も漫画版とは異なる。元々この作品の主人公は不殺(ころさず)の決意をした剣客、緋村剣心だ。この設定が上手いのは、幕末でかつチャンバラという見ようによっては血なまぐさい設定において、少年漫画らしいヒロイックな立ち位置を確保しているところ「人斬り抜刀斎」としての過去は小出しにしていく構成になっているのだ。 一方で実写版の本作では冒頭からしてかなり激しい。血しぶきを上げて切り倒していく過去から始まる。緋村剣心は自己の矛盾と戦い、幕末という新しいものと古いものが同居する混沌とした時代を生きる。 明治という時代の複雑さは、敵の「武田観柳」や、元は敵だが今は政府側の「斎藤一」として現れる。混沌を味方につけ、新時代の価値観たる「経済」の野望を抱く武田観柳は、アヘンの商人だ。斎藤一は新しい時代のために戦った志士だが、明治となった新しい世の中を肯定しきっているわけではない。このあたり、時代背景を上手く織り込んでいる。 本作はその出来の良さもあってヒットし、第二作京都大火編と第三作伝説の最期編が同一スタッフで制作された。「京都大火編」は原作でも人気のエピソードの映像化。完結編たる「伝説の最期編」は徹底したアクション巨編である。こちらも併せてチェックしてほしい。

Recommended Movie No.04

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(c)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 (c)諫山創/講談社

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別冊月刊少年マガジンという、ちょっとマイナーな雑誌に掲載された新人作品。読み切りが掲載された当時の作者の年齢は19歳。これが累計5000万部超、「講談社を救った」とまでいわれる特大ヒットになるのだから途轍もない出来事だ。 監督は『日本沈没』『巨神兵東京に現わる』、そして2016年7月29日に公開され話題をさらった『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督だ。石原さとみを含む出演陣も豪華。この実写版が志向したのは、ホラーよりのモンスター映画だろう。序盤のシークエンスはとてつもなく怖いし、悪魔的な映像だ。壁に囲まれた世界で生きる人々、壁の外には人を食う恐ろしい巨人がいる。だが、実際に見た者は少なくなってきた。そんな折に起きる、壁の背丈をゆうに超える超大型巨人による壁の破壊。なだれ込んでくる生々しい巨人が町の人を食い散らかし、血みどろの惨劇を繰り広げる。こういったホラー表現は、特撮ものでは珍しい。 破壊描写などカッコいい絵はとことんカッコよく、巨人の生々しさがより効果的な表現になっている部分もある。生理的に「こいつに食われるのだけはヤダ!」となるのはむしろ正解ではないか。 それにしても本作が『シン・ゴジラ』の前に作られたのは興味深い。樋口真嗣監督は本作の撮影が「いつまでも続けばいい」と思うほど楽しかったと語る。いろいろな事情を呑み込んで、一定レベルの作品を作り上げた樋口真嗣監督。恋愛、死、市民、メロドラマなどの、シン・ゴジラでそぎ落としていったものがすべて入っているのも本作の特徴だ。 本作は前編となるが、前編ではひたすらに巨人に蹂躙され、最後に反抗の目がでるといった構成。ぜひ、後編も確認していただきたい。

Recommended Movie No.05

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原作は月刊アフタヌーン連載の漫画だ。掲載時は1990年。当時のアフタヌーンはアートっぽさとオタク・サブカル感が凝縮された雑誌だった。 『寄生獣』は脳を乗っ取り、強力な戦闘力をもって人間を捕食する化け物=寄生獣と、その寄生から逃れ右手を乗っ取られた主人公の物語だ。右手は乗っ取られたものの、運命共同体となったその「化け物」はミギーと名乗り、協力することになる。構造としてはヒーローものなのだがホラーな表現もあり、不思議な味のある作品という印象だった。連載がつづくにつれ人気はぐんぐんと上がり、押しも押される不朽の名作として語り継がれることになる。 そんな原作の実写化であるが、連載発表時からずいぶんと間が空いている。一説にはハリウッド(ニューラインシネマ)に原作権があったためだったとされている。だがこの空白はよかった。CGが発達した今こそ完成度の高い絵が見れたというものだ。 監督は山崎貴氏。三丁目の夕日やSPACE BATTLESHIP ヤマトの監督だが、もともと造形美術の人でありCGマニアとしても有名。そんな山崎貴作品だけに「ミギー」をはじめとする寄生獣たちのCGやVFX、合成元とカッチリあったライティングも見事だ。これにはHDRI=ハイダイナミックレンジイメージを多用している。実際の撮影場所の光の具合を使用しているのだ。自然で実在感のあるCGとなるが、当然準備も多くなる。これらは綿密な設計の元に作られた画面というわけだ。 スプラッタホラーに寄せているため万人向けとは言えないものの、熟練の技で練り上げられた完成度の高い作品である。後編の『寄生獣 完結編』も見逃せない。

Recommended Movie No.06

テラフォーマーズ(c)貴家悠・橘賢一/集英社 (c)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会

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大抵の人が忌み嫌い、見つけたら問答無用で殺すであろう昆虫G。だが、Gが害虫と言われたのは過去の話だ。衛生管理が行き届いた現在、Gの雑菌レベルは人間の手とさほど変わらないという。それでもGは嫌われる。そこに理由はない。 『テラフォーマーズ』は、火星を住める星にする「テラフォーミング計画」がバックストーリーにある。元々、地球の兄弟星と呼ばれる星。温めて大気成分を変化させれば、人間が住めるようにできる。これが「テラフォーミング」であり、SFの定番ネタである。本作ではそのアイデアがすさまじく「苔とGを放ち、地表を黒くして温度を上げる」というものだ。 地表を埋め尽くすGというイメージだけでもウゲッとくるのだが、その駆除のために何年かぶりに火星の地表に降りたクルーを待ち受けるのはとてつもなくデカくてマッチョな人間型の生命体。見た目はもうほとんどGじゃないのだが、これが問答無用で襲ってくる。なんでって? 「私らがGを殺すのに理由がないように、あいつらが人間を殺すのにも理由はない」のだ。 本作はそれだけで終わらない。Gどもがすさまじく進化しているのと同様、人間側も昆虫の力を移植して超人的な力を持っている。そう、本作はとてつもないインパクトを持ったバケモノと戦うヒーローものでもあるのだ。 そんな原作の世界を、本作のビジュアルはかなり忠実に再現している。また、原作でもそうなのであるが、容赦なくスピーディにキャラクターが死ぬ。この実写版映画は単行本一冊分なのだ。とにかく内容が濃い。メインを張る人型Gの作りも良く、熱量のある作品であることはまちがいない。

Recommended Movie No.07

新宿スワン原作:和久井健『新宿スワン』(講談社『ヤングマガジン』刊) (c) 2015「新宿スワン」製作委員会

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原作はヤングマガジン連載。主人公は新宿の新人スカウトマン。AV、キャバクラ、風俗といった、いわゆる水商売のスカウトだ。出てくる数字やシステムは、条例順守の小ネタなど、リアリティを積み重ねている。監督は園子温。「自殺サークル」や「リアル鬼ごっこ」などキッチュなバイオレンス描写を見せるので有名だが、本作はかなり手堅くしっかりとした作りになっている。 前半のヤマは、対立するスカウトグループとの抗争。後ろにヤクザがいることになっているものの、ただ殴り合いをするわけではない。メンツがあり、ロジックがある。その上で主人公の「女を守る」という前時代的かつヒロイックな面がドラマを作っていく。 もちろん所詮は裏稼業だ。優しくしていたつもりなのに、リスカ跡のある女が自殺してしまったり、助けたつもりがシャブづけになって前の男について行ってしまったり。ヤクザものとしてはよくある悲劇ネタだが、職業ものとして入口があるがゆえにかなりクる。幸せそうに働く女たちの対比がまたキツいのだ。 映画のほうでは序盤からかなり主人公のキャラクターがヒーローとして強調され、ストーリーもそのように再構成されている。前半などは原作ではただただ巻き込まれるだけなのだが、ちゃんと主人公の行動が解決に向けて作用する。原作は結構とぼけた味のギャグや裏稼業故の諦めといったシニカルな空気もあるのだが、映画版は熱血漢の物語といった風情がある。男の殴り合いや抗争劇が好きな方におすすめだ。

Recommended Movie No.08

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原作は1990年から『月刊チャンピオン』に連載されていたヤンキー漫画である。秋田書店のヤンキー漫画としては歴史が長く、「クローズ」の続編として「ワースト」があり、つい最近(2013年!)まで連載されていた。秋田書店の金字塔となるヤンキー漫画であり、本作はその実写映画化、といいたいところだが、クローズZEROと名がついている通り、原作の前日譚。完全オリジナルストーリーである。 本作はエネルギーのあるアクションとキレのあるスピーディーな動き(コマも落としてるが)と、タイトなカットワークがとにかくカッコいい。冒頭の入学式からして大暴れ。殴る前のにらみ合いの緊張感。無駄に破壊するカーチェイス。それらの要素がほとんどマトモなセリフもなく延々続くわけで、これはもうミュージックビデオかドラッグムービーに近い。廃墟みたいに落書きだらけの校舎もド迫力だ。 登場人物の知能指数が一桁切りそうな勢いだが、それを稀代の二枚目俳優である小栗旬氏が演じているというのも豪快だ。というか小栗旬はこのときすでに25歳のはずなんだが、高校一年生役を演じている。まあもう無理があるとか、そういう映画じゃないからいいのだが。 メインストーリーは小栗旬演じる滝谷源治が、ヤクザの組長である父を超え、組をもらうために最悪の不良高校鈴蘭高校の制覇に乗り出す……ということなのだけど、何をもって制覇なのかもよくわからない。「どうやって制覇していいか教えてくれよ」とOBに教えを乞うのだが、その内容をノートに書いて、読み上げながらケンカする。まあそんな具合に、頭の悪いギャグとバイオレンスのオンパレードである。 仲間は増え、状況はどんどんとエスカレートし、終盤は大人数による規模のデカいバトルまである。内容のあるセリフは少ないが、「医者が手術せずに30%って言うなら、俺はなにもせず100%生きてやるよ」のような異様に言霊のあるアツいセリフがでてきたりもする。 ある種の人間にとっては最高の映画であるし、一ミリも理解できないという人もいるであろう。いずれにしても極まった感のある作品なので、一見の価値はある。本作はヒットし、映画版のストーリーを元にしたコミカライズ、さらに続編の「クローズZERO II」、そして三作目の「クローズEXPLODE」が作られた。

Recommended Movie No.09

ろくでなしBLUES(c) 1996 森田まさのり/集英社、ポニーキャニオン、テレビ東京、パル企画

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週刊少年ジャンプに1988年から掲載されていた漫画。当時のジャンプには珍しい不良漫画だった。80年代は折しも「ビーバップハイスクール」から連なる不良ブームがあり、各紙にヤンキー漫画が載っていた。ところが80年代後半から90年代にかけてはすでに不良はパロディの対象になっており、宮下あきらの「魁!!男塾」はギャグ漫画に近い。当時は「Drスランプ」に続き「ドラゴンボール」がヒット、ジャンプはバトル漫画の系譜はあっても不良漫画は途絶えていたといえる。 ただ、「スラムダンク」が唐突にヤンキー漫画っぽくなったり、「ジョジョの奇妙な冒険」の空条承太郎が当時の不良スタイルだったりしたのは、当時の世相を反映していたのかもしれない。この『ろくでなしBLUES』はそういう時代の作品であるが、他紙のヤンキー漫画に比べると上品な印象。主人公の前田太尊自身がヤンキー的な価値観の人物ではなかったし、精緻な絵を逆手にとったトボけた味のジョークも多かった。 この実写映画は1996年に制作されたもので、いまみるとかなり時代を感じる作りだ。いい味を出してるのが風景で、吉祥寺やら渋谷やらがかなり古く感じる。それでもたったの20年ほど前ぐらいなのだが。 物語は原作で人気があった「鬼塚編」を中心にして再構成されている。それまでトントン拍子でケンカに勝利してきたが、鬼塚というキャラクターがとにかく強そうに描写され、一筋縄ではいかない。ボクシングとプロライセンス、先を行く男との友情、千秋というヒロインとの三角関係も盛り込まれたエピソードである。 はじめこそ前田太尊役の前田憲作が小柄であり、なんだか原作のイメージと違うなあと思いきや、バトルシーンはキレッキレだ。元キックボクサーだけはある。エンターテイメント作品としてよくまとまっているし、本物感がある。なにより歴史的な資料として意味を持った作品だといえる。本作はヒットし、オリジナルストーリーの第二作『ろくでなしBLUES 2』が制作された。こちらもオススメだ。

Recommended Movie No.10

DEATH NOTE デスノート(c) 大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2006「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

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週刊少年ジャンプ連載の漫画で、原作・作画ともどもバクマンと同じ。時系列的にはデスノートの方が先に描かれた作品だ。「ノートに名前を書かれた人間は死ぬ」という設定は、思春期の青少年を鷲掴みにした。デスノートを拾って死神の力を得る夜神月(ライト)なる眉目秀麗、勉強もスポーツもできる秀才。世の中をよくするために犯罪者を殺し、新時代を作ることを宣言。それに対する天才探偵「L」との頭脳戦を繰り広げる漫画に展開する。 月は学生であり、ハイスペックではあるもののあくまでその範囲内で行動する。デスノート自体の機能は「殺す」周辺でしかないので、うまく頭を使わなければならない。追われる立場でもあるのだ。本実写版は、主人公である月が次々と自らの計画を成功させ、「L」との直接対決までもっていくまでのストーリー。原作でもかなり「おいしいところ」だ。 月はダークヒーローとしてかっこいいし、「死神はデスノートに触ったものしか見えない」「死神は死なない」など、今までばらまいた設定と伏線が見事に集約されて解決するカージャックの場面は本作きっての名シーンといえる。 全体の印象としてはかなり原作通りではあるのだが、終盤に向かうにつれてオリジナルの展開となっていく。ここはキャラクターの解釈や表現も含め、好き嫌いが分かれるところかもしれない。月が「人としての一線を越える」のを明確にする意図はわかるし、そうして次作「DEATH NOTE デスノート the Last name」にバトンタッチしている。ここはセットで楽しむべきといえよう。DEATH NOTEはこの他にも「L」を主人公にしたスピンオフ映画版、原作に忠実なアニメ版、2015年には設定や役者も変えた実写テレビドラマ版も制作された。

まとめ

ひと昔前の漫画原作の実写化ものは、本気なのか冗談なのかわからない質感のものが多かった。そのことに、作り手も受け手も慣れていたふしがある。例えば、けばけばしい色の服や髪の毛は、無理やり再現しなくても良いなど。しかしCGの発達で、かつては映像化が難しいとされたものも再現できるようになった。ハリウッドばかりが映画ではない、今回は少年漫画の実写化ものの可能性を体現する作品を集めさせていただいた。もしまだ視聴していない作品があればぜひ楽しんでいただきたい。

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